米フロリダ州の高校での銃乱射事件を受け、トランプ米大統領が再発防止策として教師らの銃携行を検討するとしたことに、教員らの間で批判が広がっている。今回の事件では、銃を持った警官が校内にいたものの対処できなかったことも判明。こうした対策の限界も露呈した。
トランプ氏は21日に事件のあった高校の生存者や遺族らと面会し、訓練を受けた教員や学校職員に銃を携行させるという案を「解決策になり得る」と評価した。22日も「銃乱射は平均3分間。警官が駆けつけるまでに5~8分かかる。高度に訓練された銃の名手の教員らがいれば解決出来る。大きな抑止力だ」などとツイート。米CNNによると、22日に開かれた事件に関する会合では「銃を携行する教師にボーナスを支給しても良い」と発言した。
これに対し、教員170万人が加入する全米教員連盟のワインガーテン会長は22日、「昨夜6万人の教育関係者と電話集会を開いたが、教師は銃を持つことを望んでいない。我々は勉強を教えたいのだ。いくら教師を訓練しても、AR15(半自動ライフル)には立ち向かえない」との声明を発表した。
同会長はさらに「実際、どうやって機能させるのか。幼稚園の先生が銃を身につけるのか。事件が起きたときに、生徒をかくまうのではなく、銃を取りに行けというのか」などと疑問を提起。「安全だという幻想を招くだけで、実際はより危険になる」と断じた。
また、300万人の会員を抱える全国教育協会も21日の声明で、「銃を学校に増やしても、生徒や教員を守ることはできない。保護者や教員は反対が圧倒的だ」と訴えた。
一方、事件があった高校の地元保安官は22日、乱射時に銃を持った警官が学校敷地内にいたものの、容疑者が校舎内で銃撃している間、校舎の外からようすをうかがっていたと明らかにした。本来は突入して容疑者に立ち向かう役割が求められていた。訓練を受けた警官でも対処できていなかったことで、学校関係者が銃を保持していれば抑止力になるとの議論に大きな疑問符がつきそうだ。(ニューヨーク=鵜飼啓)