朝日新聞の慰安婦に関する報道で誤った事実が世界に広まり名誉を傷つけられたなどとして、国内外に住む62人が朝日新聞社に謝罪広告の掲載などを求めた訴訟で、本社の勝訴とした二審・東京高裁判決が確定した。原告側が22日の期限までに上告しなかった。
朝日新聞の慰安婦報道を巡っては三つのグループが訴訟を起こしたが、すべて請求棄却の判決が確定した。
今回確定したのは、慰安婦像が建てられた米国グレンデール市近郊に住む原告らによる訴訟。慰安婦を強制連行したとする故吉田清治氏の証言に関する記事などが訴えの対象となった。
今月8日の高裁判決は、「記事の対象は旧日本軍や政府で、原告らではない」として名誉毀損(きそん)の成立を否定した。
原告側は記事により「日本人が20万人以上の朝鮮人女性を強制連行し、性奴隷として酷使したという風評」を米国の多くの人が信じ、嫌がらせなどを受けたと主張した。これに対して高裁判決は「記事が、この風聞を形成した主要な役割を果たしたと認めるには十分ではない」と指摘。「読者の受け止めは個人の考えや思想信条が大きく影響する」と述べ、被害と記事の因果関係を否定した。
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この訴訟に関する記事と慰安婦問題をめぐる一連の訴訟の内容や裁判所の判断は、本社コーポレートサイト(http://www.asahi.com/corporate/)に掲載しています。