BCリーグ栃木の入団会見で、ユニホーム姿を披露した前巨人の村田修一
プロ野球巨人から昨秋に戦力外通告を受け、独立リーグの「栃木ゴールデンブレーブス」入りを決めた村田修一内野手(37)が9日、栃木県小山市内で入団会見に臨み、「まだ野球をしたい。その場をいただいて感謝している」と、しみじみと喜びを語った。背番号は巨人時代と同じ「25」に決まった。
昨季限りで自由契約となったスラッガーは日本野球機構(NPB)の他球団移籍をめざしたが、かなわなかった。「話がない時点でやめて、次の人生にチャレンジしても良かったが、まだ野球をしたいという気持ちが一番上に立った。やめるのはいつでもできる。まだ続けるだけの気持ちも体もある」。日焼けした顔からは、並々ならぬ意志が伝わってきた。
小山市内に妻の実家があった縁も、入団の決め手の一つとなった。「家族からは『ユニホームはまだ着て欲しい』と言われた。最後の試合はどうやって終わったか。栃木のお義父(とう)さん、お義母(かあ)さんの近くでプレーできる」
昨季はシーズン途中から存在感を発揮し、118試合で14本塁打、58打点を稼いだ。それでも、NPB球団から声はかからず、復帰する厳しさは身にしみて知っている。NPBの支配下登録は7月末が期限になる。「復帰があるのか、ないのかは僕が判断することではない。声がかからなければいかない。その先のことは全く考えていない」と言い切った。
すでに引っ越しを済ませ、単身赴任で勝負をかける。不慣れな独り暮らしにも奮闘中だ。「キャベツを千切りして指を切りそうになった。洗濯機の使い方も覚えている」
ブレーブスは昨季から独立リーグのBCリーグに加入。前期は東地区5チーム中最下位、後期は4位だった。独立リーグの印象を問われ、「NPBを目指すという意味ではNPBより下と見ているが、野球に対する気持ちはNPBと比べるのは失礼。真摯(しんし)に取り組んでいる選手が多く、見習うべきところはあるんじゃないかな、と。(NPBで)15年間やってきて忘れたところはあるかもしれない。見習っていきたい」。
球団は昨季、観客動員で3万825人を集め、試合後のファンサービスにも力を入れている。「僕、コワモテですし、積極的に話しかけてくれる選手は少ないと予想していますので、努力してチームに溶け込んでいけるよう頑張ります。栃木のみなさんといわず、全国のみなさん、グラウンドに足を運んで、見に来てください。スマイルで対応したい」
面倒見の良さから後輩らから慕われてきた熱き男、村田。新たな夢を追いかけるべく、老け込むにはまだ早い。(笠井正基)