引退のあいさつで涙を流す村田愛里咲
平昌五輪まで3大会連続で五輪に出場してきたフリースタイルスキー・女子モーグルの村田愛里咲(行学学園教)が、今季限りでの現役引退を表明した。ここ数年は慢性的な腰痛に苦しんでいたといい、27歳ながら「限界だった」。最後のレースでは、「フルツイスト」(伸身後方宙返り1回ひねり)を披露。万感の思いを込めた大技で、選手生活を締めくくった。
引退試合は予選落ち
18日に札幌市であった全日本選手権が引退試合になった。腰は「寝ているだけで痛い」という状態。それでも無理を押してスタートを切ると、第1エアでフルツイストに挑戦した。が、着地の衝撃に腰が耐えきれるはずはない。直後のターンが大きく乱れ、予選落ちした。ただ、「痛くても、やると決めていた。恩師に教えてもらった技で終わりたい、って思っていたから」と後悔はしていない。
村田が「恩師」と呼んだのは、2010年に亡くなった北海道尚志学園高(札幌市)スキー部元監督の本濃祐人(ほんのうゆうと)さんのこと。北九州市出身の村田は、スキーを学ぶために15歳の春、北海道に留学した。誘ったのが、本濃さんだった。
村田が持つ天性のバネを生かそうと本濃さんが教え込んだ技こそ、女子では世界最高難度のフルツイスト。152センチの小柄な体で決める大技は、いつしか村田の代名詞となり、世界で戦う上で欠かせない武器になった。
本濃さんは08年に血液のがん…