男子のメダリスト3人。左から銀の宇野昌磨、金のネーサン・チェン、ミハイル・コリャダ=ロイター
(フィギュアスケート・世界選手権)
宇野昌磨、演技後にぬらしたほお 「諦めずにやった」
フィギュア特集 Kiss and Cry
「1日経って、もっとうまくなりたい。レベルアップしたいという気持ちになった。悔しい思いを力に変えたい」。宇野昌磨(トヨタ自動車)はフリー翌日の25日、2大会連続の銀メダル獲得を喜ぶことはなかった。「(前回と)同じ銀メダルでも、ここまで気持ちが違うんだと思った」
今大会前に右足甲を痛めた。24日のフリーでは、その右足で踏み切る4回転ループと、右足のつま先を氷について跳び上がる4回転フリップで転んだ。「最善を尽くそう」とだけ考え、終盤の連続ジャンプを決めて耐えた。他選手もミスを重ねたため、銀メダルが転がり込んできた。
22日のSPは、負担がかかる4回転フリップを回避せざるを得なかった。もし、左足だけで踏み切る4回転サルコーを習得していれば、ここまで苦労しなかっただろう。来季に向け、「4回転サルコーの練習をして、試合で跳べるように努力したい」と掲げた。
今季途中でけがをした羽生結弦(ANA)と同じ大会で競い合ったのは、五輪だけになった。その勝負強さを目の当たりにして、五輪も銀メダル。今季はグランプリ(GP)ファイナルも四大陸選手権も銀メダルだった。「改めて存在の大きさを知った。うまくなって、精神的にも羽生選手くらいの強さがほしい」。もっと輝く存在になっていくための意欲を得て、シーズンを終えた。(後藤太輔)