スタンドにあいさつし引き揚げる日大三の記録員米本ひかるさん=29日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場、池田良撮影
(29日、選抜高校野球 三重8―0日大三)
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「特等席」から見える景色は最高だった――。春夏通算36回目の出場となった日大三は、チーム史上で初めて女子マネジャーを甲子園のベンチに入れた。大会第7日の29日の三重戦でも選手の一番近くで試合を見守った。
この日、記録員としてベンチ入りしたのは、ちょうど誕生日だった3年の米本(よねもと)ひかるさん。「昨秋の都大会からこの髪形で勝ってきたから」と、ツインテールに結って臨んだ。「最初は緊張してスコアがうまく書けなかった」が、二回からは、投手の球数など選手からの質問にも冷静に答えられた。「限られた人しか座れない場所。入らせてもらえてうれしかった」
夏の甲子園では1996年から女子マネジャーのベンチ入りが認められた。日大三は29年創部だが、87年の共学化後、女子マネジャーを受け入れたのは2009年。練習補助が主な仕事だが、小倉全由(まさよし)監督(60)が「将来のマネジャーの励みになる」と、甲子園では男子部員が務めてきた記録員を、3年生の女子マネジャーに変えた。
5―0で勝利した由利工(秋田)との1回戦では、大野弥奈(みな)さんが入った。前日から緊張し、夕食の味も感じないほどだったが、初めて座ったベンチは目線とほぼ同じ高さに黒土のグラウンドが広がり、広い外野を一望できた。「甲子園の全てに感動した」と大野さん。
3年生のマネジャーは3人おり、話し合ってベンチ入りの順番を決めた。この日スタンドで応援した曽我千侑実(ちゆみ)さんは、勝てば次は自分の番だったが、チームは0―8で敗れた。「開会式でプラカードを持って歩かせてもらえたから十分。また一つでも多く勝てるようにサポートを頑張ります」
日置航(わたる)主将(3年)は「いつも一緒に練習に付き合ってくれている。3人ともベンチに入れなきゃいけなかった」。夏にもう一度連れてくるつもりだ。(阿部健祐、遠藤隆史)