日大三―三重 六回裏三重1死一塁、打者浦口の時、走者井上は二盗を決める。二塁手木代④=内田光撮影
(29日、選抜高校野球 三重8―0日大三)
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五回まで両チーム無得点の投手戦。三重が六回、得意の盗塁から流れを作り、最速147キロ右腕の日大三・井上を攻略した。
先頭の9番井上が内野安打で出る。何球も牽制(けんせい)球をもらいながら「牽制の時はプレートから右足を外して投げる」と確信した。1死後、好スタートを切り二盗に成功。マウンドの井上に重圧をかけると、2番浦口が右中間に先制三塁打。続く曲(まがり)も左中間に二塁打。ともに甘く入った直球を振り抜いた。
この回4長短打を集中し、一挙3点。井上をこの回で降板させた。日大三の捕手斉藤に「走者を出してから井上に焦りがあった。走者を気にして甘くなった球を打たれた。悪循環だった」と言わしめた。
二回には大川、前出がともに二盗に失敗していた。それでも、三重はぶれない。28歳の小島監督は「足は止めたらダメ。攻めていこう」と選手に言い続けた。
強打を武器に2014年夏の甲子園で準優勝。小島監督はそれに加え、昨夏の就任当初から「走る」意識を植え付けてきた。練習試合でもどんどん走らせ、失敗しても叱らない。だから、この日序盤の盗塁死にも、井上は「ベンチは全然焦らなかった」と話す。
この後も止まらない。七回はランエンドヒットと盗塁も絡め、大量5点で突き放した。2安打1盗塁の浦口は「走って内野を警戒させて、振り抜いて(内野の)間を抜く。これが三重のスタイル」と胸を張った。4年ぶりの甲子園で、新生・三重の野球を見せつけた。(橋本佳奈)
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○定本(三) 完封した背番号10の主将。「聖地でしっかり投げられたことは自信になる。球を低めに集めた。緊張はなかった」