タカラジェンヌになりきり、「ベルサイユのばら」の一場面を演じる受講生たち=大阪市北区、井手さゆり撮影
憧れのタカラジェンヌのようになれたら――。そんな夢に近づける場がある。宝塚歌劇団のOGが講師を務める「なりきりレッスン」がひそかな人気だ。本当の舞台は踏めなくても、「清く 正しく 美しく」を胸に、ヅカファンの大人たちが稽古に励んでいる。
なりきって、美と健康を
スカートをはいた「娘役」の腰にジャケット姿の「男役」が手を添える。軽やかにターン。「客席」に向けて、フィナーレで使う小道具の「シャンシャン」を笑顔で振り続けた。
東京都目黒区のダンス&フィットネススタジオ「HatsuNe」。今月、10~50代の女性13人が「なりきりタカラヅカ」のレッスンに励んでいた。教えるのは初嶺麿代(はつねまよ)さん。1994年に歌劇団に入団し、2007年まで雪組と宙(そら)組の男役で活躍した。宝塚で培ったスキルで「女性の美容と健康を」と考え、14年にスタジオを開設。集まった受講生から、「宝塚を疑似体験したい」という要望が出た。
そこで、特別レッスンとして舞台のダンスなどを教え始めると、みんな生き生き。「実はなりきり願望を秘めていたのか」と驚いたという。ダンスは脳も使う。「好きで続けられることこそ健康に最適」と「なりきり」を常設した。東京・池袋にもスタジオを開き、「娘役ダンス」「男役ダンス」など宝塚をテーマにした複数のレッスンを設けている。
女性たちは身も心もなりきるため、宝塚風メイクをして衣装を用意。自分で芸名もつける。昨春から通う都内の主婦、「嶺淀礼穂(れいよどれいほ)」さんは「10キロやせた。10年以上前、息子の幼稚園時代に着たスーツが入る」と喜ぶ。横浜市の会社員、「舞月瑠那(まいづきるな)」さんは小学生の頃、宝塚にはまった。大人になり再び目覚め、「先生のようにキラキラと輝く人生を歩みたい」。
宝塚音楽学校の受験を目指す少…