18年前にも選手として選抜大会で智弁和歌山と戦った国学院栃木の柄目直人監督=2018年3月27日、内田光撮影
敗れた相手に、監督でリベンジを――。第90回記念選抜高校野球大会第8日の30日、第2試合で国学院栃木の柄目(つかのめ)直人監督(35)がベスト8をかけて因縁の相手に挑んだ。選手として出場した72回大会で敗れた相手が智弁和歌山。当時は1番打者で中堅手だった。母校の指導者となり、18年越しの雪辱にかけた。
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2000年の選抜大会で国学院栃木は育英(兵庫)、九州学院(熊本)、福島商を破り、ベスト4。だが決勝進出をかけた準決勝で強打の智弁和歌山に2―10で敗れた。柄目「選手」も内野安打1本に封じられ、試合後は「機動力と守備力を高め、また智弁和歌山とやりたい」と語っていた。だがその年の夏は栃木大会で敗退し、再戦できなかった。一方の智弁和歌山は全国制覇した。
柄目「選手」は甲子園での敗戦をきっかけに「指導者になろう」と筑波大に進み、09年に母校の監督に就いた。甲子園には18年前以来足を踏み入れなかった。「見るところじゃなく、出るところと思ってきたから。あの悔しさがあったからこそ今がある」と率直に話す。今回の組み合わせが決まったときから、「2回勝って智弁和歌山と対戦したい」との思いが湧いていた。「個人的にはリベンジしたい。やられたらやりかえす主義なので」
大久保謙亮(けんすけ)主将(3年)は「監督が負けたチームなのでとにかく勝ちたい」と話した。チームには00年生まれの選手もいる。エースの水沢龍太朗投手(同)も「監督に勝利をプレゼントしたい」。
一方、1980年から智弁和歌山を指揮し、春夏の甲子園65勝の高嶋仁監督(71)。柄目「選手」との対戦があったことを知ると、「え、ほんま。こんなこともあるんやな」と対戦を楽しみにしていた。英明(香川)と延岡学園(宮崎)を破った柄目監督の采配については「うまくかみ合っている」と評価した。
試合は7―2で智弁和歌山が勝利。報道陣に実力差を問われた柄目監督は「智弁和歌山の打撃の圧力や甘い球への集中力を感じた。でも決して遠くない」と夏のリベンジを誓っていた。(斉藤勝寿、片田貴也)