優勝を決め、チームメートと喜ぶレアル・マドリード・カデーテB(U15)の中井卓大(右から3人目)
サッカーの強豪、レアル・マドリード(スペイン)の育成組織でプレーする14歳のMF中井卓大(たくひろ)が27日からの3日間、神奈川県であった15歳以下(U15)の親善大会に、チームとともに出場した。主力級としてプレーし、「凱旋(がいせん)優勝」。Jリーグ関係者もうならせる才能を見せた。
29日にあったJ1湘南のU15との決勝。背番号14の中井は、3人のMFの一角として先発した。相手から球を奪ってすぐに、足の裏を使って後方の味方にパスするなど、高い技術力を披露。後半12分(前後半30分ずつ)に交代するまで攻守に駆け回り、2―0の勝利に貢献した。
大会にはレアルのほか、Jクラブなど日本から7チームが参加。レアルは負けなしで優勝した。表彰式後は、チームメートと跳びはねながら歌って大はしゃぎ。「自分の国、日本で優勝できた。家族も来ていて、うれしかった」
滋賀県出身の中井。2012年にレアルが日本の少年向けに日本で開いたキャンプで認められ、13年春に現地で練習に参加。同年秋の入団テストで合格し、レアルの一員となった。
大好きだという愛称は、「ピピ」。名付け親は母だという。「ピーピー、ギャーギャー泣いていたから、つけられた」と笑う。異国の仲間に溶け込むのにも、一役買った。「スペイン語で『おしっこ』という意味。自己紹介で言ったら、みんなが笑って」。クラブの公式サイトでも「Pipi」と表記される。
公式サイトによると、身長167センチ、52キロ。球扱いに優れる持ち味を発揮したのが、28日の1次リーグ、J3相模原のジュニアユース戦。後半23分、走りながら左からパスを受けると、スピードを保ったまま前に球を転がして、2タッチ目で右足シュート。左サイドネットへ、転がして決めた。「狙い通りに蹴れた」
29日の湘南との決勝戦はトップチームの曺貴裁監督も観戦していた。中井について、「球を持ったときの姿勢や、判断の質はいいものを持っていると思った。あとは、フィジカルとか体を鍛えれば。スペインで長くやっており、精神的な強さも備えてくるだろう。一人の指導者として、陰ながら見守っていきたい」と成長を期待していた。
中井の2歳年上で、ライバルクラブであるバルセロナの育成組織出身のMF久保建英は、J1・FC東京のトップチームでプレーする。中井は「すごい人。俺はまだまだ。久保君みたいになれたらいい」。将来の夢を問われると、きっぱりと言った。「レアルのトップチームまでいって、日本代表のエースになりたい」(勝見壮史)