(30日、広島6―3中日)
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六回、同点に追いつかれ、なお1死二、三塁。中日の小笠原が投じた102球目、145キロの直球が真ん中高めに入った。
広島の田中が放った打球が、前進守備の左翼後方に落ちる。勝ち越しを許す2点適時二塁打。初の開幕投手を担った20歳の左腕は、カバーに入ったホームベース付近で立ち尽くした。
「最低限、ゲームを作ろうと思っていたけど。打たれたら終わり。申し訳ない」。6回を被安打8の5失点。悔しさばかりが残るマウンドとなった。
昨季の広島戦は6試合で1勝1敗。ただ、防御率は5・96と打ち込まれた。そんな印象が残るのか、立ち上がりから力みがちで制球が定まらない。一回、1安打と2四球で1死満塁となり、松山の右犠飛で先取点を許した。逆転した直後の六回には先頭のエルドレッドに同点ソロを浴びるなど、要所で打たれた。
2月の春季キャンプ中から、「開幕投手」を意識していた。「(森監督から)遠回しに言われていました」。1950年の2リーグ制導入後では球団最年少での「大役」へ向け、オープン戦は4試合で2勝無敗、防御率1・35。結果を出して臨んでいた。
近藤投手コーチは「初めての緊張感の中で一気には崩れなかった。勝てば自信になっただろうが、勉強として次に生かして欲しい」と話す。シーズンは始まったばかり。苦い経験を糧に成長するしかない。(鷹見正之)