七回表オリックス2死、吉田正を左飛に打ち取り、ベンチへ戻る千賀(左)と左翼手中村晃=長沢幹城撮影
(30日、ソフトバンク2―0オリックス)
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気迫が乗り移った剛球で大役を全うした。育成ドラフト出身で史上初の開幕投手を務めたソフトバンクの千賀が7回を無失点に抑える力投で、2年連続の球団の開幕戦白星につなげた。
圧巻の投球だった。1週間前の調整登板で右上腕の張りで三回に緊急降板したが、この日は違った。一回。先頭のオリックス・宗への初球で自己最速157キロを計測し、2球目も再び157キロをマーク。「ほどよい緊張感。最初から力むと思ったので力んでいこうと思った」と立ち上がりから飛ばし、抜群の球威で7奪三振。許した走者は単打と四球の2人のみだった。
昨季は2年連続2桁勝利を挙げ、勝率第1位の初タイトルを獲得。工藤監督は「もう一つ上のレベルに」と成長を期待して、今季の開幕を託した。新たなモチベーションもある。オフの期間に将来的な大リーグ挑戦の意思を球団に伝えた。昨年出場したワールド・ベースボール・クラシックで世界との実力差を肌で感じたからこそ「もっともっとレベルアップするために」と、あえて自らに重圧をかけ、今季に臨んでいる。
捕手の甲斐との育成出身の同期バッテリーでスコアボードに0を並べた。自身に白星こそつかなかったが、「名誉なポジションを任せてもらい、気持ちのこもった投球ができた」と、重圧をはねのけての84球の好投に納得。日本一連覇を狙うチームとともに25歳はさらなる高みを目指す。(甲斐弘史)
○工藤監督(ソ) 「良いゲームだった。(開幕投手の千賀は)非常に緊張する初舞台で自分を見失わないで、しっかりと投げていってくれたところはよかった。一番ほっとしているのは千賀君かなと思う。七回まで球数も少なく良いピッチングだった。本人がいけるところまでいかせようと思ったが、七回までいけば十分かなと思った。柳田君も初球から逃さずよく打ってくれた」
○柳田(ソ) 八回に決勝の2点適時二塁打。「追い込まれたら厳しい投手。追い込まれるまでに前に飛ばそうと思っていた。開幕戦なので勝ちたい気持ちだった」