朝日新聞が情報公開請求で入手した約2万ページのメール文書
地方議会の多くは、質問する議員側と答弁する部局側が事前に調整をしながら、質問と答弁を練り上げる。議場で披露するまでにどんなやりとりがあるのか。大阪府議会と大阪府庁の各部局が交わした2万ページを超えるメールを読み解くと、部局側のさまざまな気配りや忖度(そんたく)が見えてきた。
「忖度(そんたく)」って何のこと?
地方議会と地方行政
地方自治は首長(知事や市区町村長)と議員をそれぞれ選挙で選ぶ二元代表制だ。行政機関のトップである首長は予算や条例などの議案を提出する権限を持ち、議会は行政運営を監視する役を担う。それぞれの民意を背景に、緊張関係を保つことが求められている。
議員と調整メール、2万ページ超
朝日新聞は、昨年9~11月に開かれた府議会に関する情報公開を請求した。対象は、議会側(議員または会派担当職員)と部局側が交わした2万1596ページ分のメールだ。
昨年9月上旬、自民党会派を担当する職員が各部局へ一斉にメールを送った。所属議員の一般質問の骨子を伝えるためだ。メールには約30項目の質問が1~2行ずつ並び、「質問項目について明日から趣旨確認を行います」とあった。
議会事務局によると、趣旨確認とは、部局の職員が議員に会い、質問したいことや問題意識を確認すること。QA(質問と答弁)案の作成を求められた場合は、聞き取った内容をもとに部局で質問を考える。
「担当課QA案を送ります」。10日ほどが過ぎ、各部局が自民会派にQA案を返信した。議員の意向を反映させた質問案に、知事や部長の答弁案が添えられ、ひとつの質問ごとに1~2ページにまとめられている。
「僭越ながら…担当課で作成してみました」
ある部局からはこんなメールも届いていた。
「最後の要望部分は○○(=議員の名前)Gがお作りになるとのことでしたが、僭越(せんえつ)ながら参考に担当課で作成してみました」
Gとは議員の隠語。議会では質…