昨年の世界選手権女子200メートル個人メドレーで2位になった大橋悠依=池田良撮影
今夏のアジア大会(ジャカルタ)などの選考会を兼ねた競泳の日本選手権が3日、東京辰巳国際水泳場で開幕した。昨年の世界選手権女子200メートル個人メドレー銀メダルの大橋悠依(イトマン東進)は、社会人1年目として大会を迎える。
3月23日の東洋大の卒業式は、同じ滋賀県彦根市出身で、陸上の桐生祥秀とともに臨んだ。「入学前は4年の9月くらいには引退するんだろうなと思ってました」と感慨深げに言った。
東洋大には、平井伯昌監督に素質を見込まれて入学した。だが、足のけがや貧血もあり、大学2年まで一つ上の萩野公介(ブリヂストン)らが参加する高地合宿に行けなかった。
ただ、平井監督は常に大橋に目をかけ、リオデジャネイロ五輪を控えた合宿前には「五輪が終わったら、君を強化する番だから」と伝えた。苦手だった平泳ぎを改善。陸上トレーニングを重ねて筋力もつけてきた。平井監督は「僕がいないときも、苦しんで自分なりに考えてここまで来た。だから彼女は強い」と評価する。
昨年の日本選手権400メートル個人メドレーで従来の日本記録を3秒以上縮めて初優勝。200メートル個人メドレーも制し、初めて日本代表に入った。世界選手権では銀メダルを獲得し、「本当に夢のような1年だった」と大橋は振り返る。
世界選手権などを経験し、「自覚が芽生えた」という1年を経て臨む今大会は昨年制した2種目に加え、200メートル自由形にもエントリー。池江璃花子(ルネサンス亀戸)が頭一つ抜けている自由形で、東京五輪のリレーメンバー入りも見据える。大橋は「日本記録も持っている。簡単に負けちゃいけないというプライドはある」。
2日の練習では、「イトマン東進」の名が入った新しいTシャツに身を包み、「ジャージーも変わって、新鮮な気持ちでレースに挑めそうだなと感じています」。新星から日本のエースへの歩みを始める。(照屋健)