英国で起きたロシアの元スパイら殺人未遂事件で、使用薬物の調査をしている化学兵器禁止機関(オランダ・ハーグ、OPCW)は4日、臨時の執行理事会を開いた。関与を疑われるロシア側の主張に賛同した国は一部にとどまり、理事会の合意を得られなかった。
AP通信やロイター通信などによると、ロシア側は理事会で、英国と共同で捜査にあたることを提案した。だが、英側は「被害者が容疑者を共同捜査に携わらせる義務はなく、提案は誤ったものだ」と反対した。賛成したのは、理事会メンバー41カ国中6カ国で反対が15カ国、棄権が17カ国で、理事会の決定に必要な3分の2の同意を得られなかったという。
オランダにあるロシア大使館の公式ツイッターによると、「国際的な法的枠組みでの解決が必要」とするロシアの声明も、賛同したのは14カ国にとどまった。
事件を巡っては欧米約30カ国が「事件の責任はロシアにある」との英国の主張に同調し、ロシアの外交官を追放。ロシアも対抗して各国の外交官を追放し、対立が深まっている。OPCWは事件後、英国の要請で同国の捜査に専門家を派遣し、ロシアは強く反発していた。(ブリュッセル=津阪直樹、モスクワ=喜田尚)