国際オリンピック委員会の理事たち。中央がバッハ会長=5日、AFP時事
国際オリンピック委員会(IOC)は5日、スイス・ローザンヌで理事会を開き、国家ぐるみのドーピング問題を抱えるロシア・オリンピック委員会(ROC)を資格停止とし、来年2月の平昌冬季五輪への選手団派遣を禁じることを決めた。ただし、潔白が証明された選手はチーム競技も含めて「ロシアからの五輪選手(OAR)」として参加の道を開いた。国旗や国歌の使用は認めない。
この日の理事会は2014年ソチ五輪での不正を調べていた委員会からの報告に基づき、組織的な不正が行われたと認定した。バッハ会長は「五輪の高潔性に対する過去に例のない攻撃だった」「昨年のリオデジャネイロ五輪ではできなかった適正な手続きを経て、今回は証拠にもとづいて結論を出した」と語った。
ソチ五輪当時のスポーツ相だったムトコ副首相は五輪から永久追放とし、ROCのジューコフ会長のIOC委員資格を停止した。
また、今回IOCが調査にかけた経費と、ドーピングの独立検査機関の創設準備基金として、1500万ドル(約17億円)の支払いをロシア側に求めた。
各国の反ドーピング機関からはロシアにはびこるドーピング文化を一掃するには、選手団の全面締め出しが必要との声も強かったが、それは見送られた。
ROCが今回のIOCの処分をすべて受け入れた場合は、閉会式には資格停止処分が解除される可能性もある。
ロシアはソチ五輪でともに国別1位の金13個を含む33個のメダルを獲得したが、IOCによる検体再検査で25人の違反が発覚し、金4、銀6、銅1のメダル剝奪(はくだつ)が決まっている。(ローザンヌ=稲垣康介)