高津渉さん(右)と葉子さん(中央)、次女=今年2月、東京都目黒区駒場1丁目
東京・目黒の閑静な住宅街に警察官夫婦が働く駐在所がある。2人で地域の安全を守りながら、子育てや家事を分担。女性警察官が増える中、職住一体の新たなスタイルとして「夫婦駐在」が広がりを見せている。
高津渉(わたる)さん(33)が勤務する駒場一丁目駐在所を今年2月、妻葉子さん(36)がベビーカーを押しながら訪れた。2人とも目黒署巡査部長。この時育児休業中だった葉子さんは、次女が保育園に通い始めた4月から仕事に復帰した。3日は葉子さんが夜勤で入り、渉さんが子どもたちの世話をした。
以前は警察官が交代で24時間勤務する交番だった。周辺は高級住宅街。事件事故は比較的少なく、2002年に駐在所になった。建物は交番のままで居住スペースが狭いため、09年に赴任した高津さん夫婦は近くのマンションで家族5人、犬1匹で暮らす。警察官が家族と暮らしながら地域を守る駐在所といえば、郊外や山間部の集落をイメージしがちだが、ここはいわば「都会仕様」だ。
警視庁では慣例上、夫婦が同じ署や部署に所属することはできない。そんななか警察官夫婦を支える取り組みとして02年、目黒と月島署の管内に夫婦駐在が設置された。いまは府中、武蔵野署管内も含めて計4カ所。異動を望まなければ原則、同じ駐在所で働き続けることができる。
2人は警察学校で出会い、06…