西武の清原
プロ野球西武の快進撃が止まらない。8日のオリックス戦は集中打で逆転し、27年ぶりの開幕8連勝を記録した。10日のロッテ戦(ゾゾ)に勝って9連勝となれば、西鉄時代の1954年に11連勝を記録して以来の快挙となる。
前回開幕8連勝した91年は、日本シリーズを3連覇した黄金時代のまっただ中で、打線が強力だった。現役だった辻発彦監督は俊足巧打の1番打者。続く平野謙も小技が巧みで、好機を作って中軸につないだ。
秋山・清原ら擁し黄金時代
クリーンアップは秋山幸二、清原和博の「AK砲」に、スイッチヒッターで最多本塁打と打点王の2冠をとった5番デストラーデ。その後に長打力もあるベテラン石毛宏典らが名を連ねた。下位の伊東勤、田辺徳雄もしぶとく、切れ目のない打線だった。
先発投手は渡辺久信、工藤公康、郭泰源、渡辺智男と豪華で、救援陣も安定。8連勝時は工藤が2連続完投で締めた。
1991年4月18日の朝日新聞朝刊では「西武 パーッと8連勝」と見出しが躍る。記事では「五球団は、優勝するつもりがないのだろうか。西武の連勝を止める気さえないのかもしれない」と他球団を揶揄(やゆ)。「ヘビー級とフライ級の試合だね。横綱と前頭下位の取組といってもいい」という日本ハム・近藤貞雄監督のコメントも西武の強さを表している。
辻監督は当時を「覚えていない。投手も打線も良かった」とはぐらかしたが、今の打線も引けを取らない。
2018年型は足でかき回す
昨季首位打者の1番秋山翔吾と昨季新人王の2番源田壮亮、7番の外崎修汰、9番に2016年の盗塁王・金子侑司を置く打線は、足でかき回すという辻監督の意図を感じさせる。1、2番は当時と似通うところがあるが、下位にも俊足の選手を配置し、上位の2人でも得点が見込めるのが今の特徴だろう。
中軸の迫力は当時には及ばないかもしれないが、13年打点王の3番浅村栄斗、4番山川穂高、5番森友哉と強打者が並び、その後に6度本塁打王になったベテラン中村剛也がいるのも脅威だ。森と交代で出るメヒア、栗山巧、松井稼頭央のベテランも健在だ。
不安材料だった投手陣も、ここまで防御率2・25と安定。8試合のうち7試合で先発投手に勝ち星がついており、エース菊池雄星は「すごい打線で、投手陣も頑張ろうって話はしている」と相乗効果を認めた。
54、91年とも優勝しており、開幕ダッシュは「吉兆」といえそうだ。当時を超えることができるか。10日、ロッテ3連戦のため千葉に乗り込んだ。(大坂尚子)