大企業の業況判断指数
日本銀行が2日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、代表的な指標の大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス24で、昨年12月の前回調査から2ポイント悪化した。DIの悪化は2016年3月以来8四半期(2年)ぶり。原材料高が響いた。海外経済の追い風はまだあるが、円高やトランプ米政権の保護主義政策で、企業の先行きへの見方は慎重になっている。
短観では3カ月ごとに約1万社に景況感を聞く。DIは景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いた指数。
大企業・製造業では、原材料高の影響が出やすい化学や鉄鋼がともに9ポイント悪化。海外需要は底堅く、生産用機械は半導体関連向けが好調で8ポイント改善。自動車は輸出に加え国内販売も増え、2ポイント改善した。電気機械は4ポイント悪化した。
大企業・非製造業のDIはプラス23と前回から2ポイント悪化。悪化は6四半期(1年半)ぶり。人手不足で人件費がかさんだことに加え、原材料高で仕入れ価格も上がり収益を圧迫した。運輸・郵便が4ポイント悪化、電気・ガスは7ポイント悪化。卸売りは5ポイント悪化、小売りは横ばいだった。
人員が「過剰」とする企業の割合から「不足」を引いた指数は大企業・製造業がマイナス18で、マイナス幅が5ポイント拡大し不足感が強まった。非製造業は同2ポイント拡大のマイナス28。全規模・全産業ではマイナス34で、比較可能な91年11月以来のマイナス幅となった。
3カ月後の先行きの業況判断指数は、大企業・製造業が4ポイント悪化のプラス20、非製造業が3ポイント悪化のプラス20を見込む。大企業・製造業の18年度の想定為替レートは1ドル=109円66銭。足もとはそれより円高の106円台で、輸出が多い製造業には悪影響が出る。トランプ米政権の保護主義政策も逆風だ。大企業・製造業の18年度の経常利益予想は前年度比3・2%減と、17年度の同19・7%増から減益に転じ、慎重な見通しとなった。(福山亜希)