大麻事件の推移
大麻に絡んで警察が昨年、逮捕・書類送検したのは前年より472人多い3008人で、初めて3千人を超えた。10代から30代の若い世代への広がりが目立つという。警察庁が12日発表した。
多くは自分が使うための所持容疑で、ほかに譲渡や栽培などの大麻取締法違反と麻薬特例法違反での摘発。摘発件数は526件増えて3965件だった。逮捕・書類送検者数、摘発件数とも、これまで最多だった2009年の2920人、3903件を上回った。
高校生が53人(前年比21人増)、大学生が55人(同15人増)。摘発された人を年代別に見ると、各年代の人口10万人当たりで20代が9・4人、30代が6・8人、10代が4・1人で、いずれも前年より増えた。40代は1・8人と横ばい。
大麻の広がりについて警察庁は、乱用者が買う際の価格が覚醒剤の約10分の1の1グラム当たり約6千円と安い▽体に及ぼす危険性を軽視する傾向がある――などの要因を指摘。危険ドラッグが規制強化で入手しづらくなり、大麻に移行している可能性もあるとみている。
供給側である栽培や密輸容疑の摘発も増えている。昨年の栽培の摘発は47件増の191件。押収した大麻草は16年に約1万3千本と急増し、昨年はさらに3割近く多い約1万7千本に上った。暴力団幹部らが民家や倉庫で大がかりに栽培していた事件も摘発されており、警察庁は大麻の供給が暴力団の資金源になっている可能性もあるとみて警戒している。(編集委員・吉田伸八)