熊本地震で失われた命を悼み、献花して手を合わせる遺族ら=熊本県益城町木山
熊本地震で震度7を2回観測した熊本県益城町で15日午前、犠牲者の追悼式が営まれた。参列者は失われた命を思い、復興の願いを新たにした。
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町は2016年4月14日夜の前震と16日未明の本震で、それぞれ最大震度7の揺れに襲われた。観測史上例のないこの地震で、災害関連死を含む43人が亡くなり、住宅6259棟が全半壊するなどの被害が出た。
追悼式会場の町文化会館の周辺は、更地になった損壊家屋の跡や、再建されたばかりの家が点在している。式には遺族をはじめ町民ら261人が参列した。
遺族を代表して、妻を関連死で亡くした久保征明(ゆくあき)さん(75)が追悼の言葉を述べた。妻の益子(ますこ)さん(当時72)は前震でけがをして入院し、その病院が本震で被災したため転院を余儀なくされ、体調が悪化。地震の1カ月後に亡くなった。無念を語った久保さんは「震災を教訓に、さらに人の命を大切に、震災に強い町にと願うことが、命を落とされた方々の思いを生かすことになる」と述べた。
西村博則町長は、今も多くの町民が仮設住宅などで暮らす現状に触れて「『なんでもない毎日』がいかに大切でかけがえのないものであるか、いま心から思う。『なんでもない毎日』をいち早く取り戻す努力を続ける」と誓いを述べた。