亡き夫千秋さんが植えたフジの花を手入れする城本ぬい子さん=2018年4月12日午後3時18分、熊本県益城町、北村玲奈撮影
連れ添った夫の三回忌は、庭で満開になった白い花と迎える。熊本県益城町の城本ぬい子さん(64)は14日、熊本地震で亡くなった夫・千秋さん(当時68)が10年ほど前に植えたフジの花を仏前に供えた。
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「主人が熱心に世話してた間はあまり咲かなかったのよ」。そう言って笑い、「見せてあげたかったな」と言葉をつないだ。
千秋さんは2016年4月16日未明の本震で、倒壊した自宅の下敷きになった。
その2日前、震度7の前震で築90年の家はゆがみ、庭先の車中でそろって眠った。次の晩もそうするつもりだった。でも、息子が住む近くの家に避難するよう誘われ、甘えることにした。「扉も閉まらんし、不用心だからここにいる」と言い張る夫を残して。
「家で寝ちゃだめよ」。そう念を押したのに、本震後に駆けつけたとき、車の中に姿はなかった。「あんな地震がまた来るなんて。引っ張ってでも連れて出ればよかった」と自分を責めた。息子に「あんたが迎えに来んかったら……」と漏らしたこともある。そんな自分をまた責めた。
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