全焼した小国昭二さん方(手前)と谷川文彦さん方(右奥)。現場にはブルーシートが敷かれ、電線の復旧作業が進んでいた=2018年4月19日午前6時1分、広島県江田島市能美町鹿川、佐々木康之撮影
19日午前1時すぎ、広島県江田島市能美町鹿川(かのかわ)の民家付近から出火し、いずれも木造2階建ての2棟が全焼した。火は約3時間後に消し止められたが、江田島署などによると、現場から3人の遺体が見つかった。同署が身元の確認を急いでいる。
同署によると、全焼したのは無職の小国(こぐに)昭二さん(73)方と、南隣の会社員、谷川文彦さん(53)方。小国さんのほか、40代の娘と10代の孫の男性の3人と連絡が取れていないという。
現場は広島市中心部から南に約20キロ。広島湾に浮かぶ江田島と地続きの能美島の中ほどにある住宅地で、19日午前9時ごろから、江田島署員や消防隊員ら計約30人が捜索にあたった。
近所に住む水産加工会社長の井上強(つよし)さん(67)によると、出火当時小国さん方から激しい火の手があがっていた。屋外にいた谷川さんが、「小国さんの家から『おじいちゃーん』という叫び声が聞こえた」と話していたという。
また小国さんを知る近くのタクシー運転手(74)によると、小国さんは島内で船の修理工場を営んでいたが、数年前に妻が亡くなり、それを機に引退したという。「お孫さんもこの春、高校に入学したばかりではなかったか」と心配そうに話していた。