週刊新潮で女性記者にセクハラ発言を繰り返したと報じられた財務省の福田淳一事務次官(58)は18日、麻生太郎財務相に辞任を申し出て受理された。森友学園問題で批判が高まる財務省事務方トップのセクハラ報道に、政権内からも更迭を求める声が強まり、辞任に追い込まれた。
財務次官、セクハラ否定「あんなひどい会話、記憶ない」
福田氏「録音された声、自分のものか分からぬ」一問一答
近く閣議で辞任を正式決定する。財務次官が引責辞任するのは1998年の旧大蔵省時代の接待汚職事件以来、20年ぶり。当面の後任は同省の矢野康治官房長が代行する。
財務省では先月、森友学園との国有地取引に関する決裁文書の改ざんという民主主義の根幹を揺るがす不祥事が発覚し、当時の理財局長の佐川宣寿・前国税庁長官が引責辞任したばかり。組織トップの相次ぐ辞任によって、財務省の信頼失墜に拍車がかかるのは確実だ。
麻生氏は記者団に対し、「福田次官から、疑惑について引き続き身の潔白を明らかにしたいが、現在の状況を鑑みると職責を果たすことが困難だとして辞職の申し出があり、認めることにした」と述べた。
福田氏も同日、記者団の取材に応じ、「週刊誌報道は事実と異なるものと考えており、裁判の中で争う」とセクハラ発言自体は否定したうえで「報道が出ること自体が不徳の致すところで、今の職責を全うすることはできない」と辞任の理由を述べた。
12日に発売された週刊新潮によると、福田氏は女性記者に飲食店で「胸触っていい?」などとセクハラ発言を繰り返したといい、当時は国会で森友学園問題の追及が続いていた時期にあたるとされる。翌13日には福田氏の発言とされる音声データもインターネット上で公表された。
財務省は16日、福田氏がセクハラ発言を否定しているとの調査結果を公表。報道各社に対し、各社の女性記者が事実関係を確認する財務省の調査に協力するよう要請した。福田氏への調査が不十分なまま、被害者に名乗り出るよう求める調査手法に対しては、野党だけでなく、野田聖子総務相ら政権内からも批判が噴出。福田氏の早期辞任を求める声が高まっていた。
麻生氏は当初、福田氏に口頭で注意したものの、事実確認や処分はしない考えを表明。批判を受けて「事実なら、セクハラという意味ではアウトだ」として調査を指示したものの、被害女性の申し出がない限りは事実確認ができないとしていた。
財務省は、福田氏の辞任後も事実確認の調査は続けるとしている。
福田氏は82年入省。予算編成を担う主計局畑が長く、官房長や主計局長を経て昨年7月から事務次官に就いていた。