前半、ガ大阪の黄義助はPKで先制点を決める=加藤諒撮影
(21日、ガ大阪1―0セ大阪)
これぞ大阪ダービーという激しい体と体のぶつかり合い。3万5242人の熱気が満ちたスタジアムで、ガ大阪は力の限りを尽くして勝ち点3をもぎ取った。
スイッチが入ったのは前半11分のアクシデントだった。ロングボールに対応した東口が三浦と衝突し、ピッチに倒れ込む。こぼれ球を拾われた決定機は、GKの本能か、起き上がってスーパーセーブしたが、その後のプレーは継続できない。試合は中断し、そのまま病院へと運ばれた。
守護神の負傷交代に選手たちは奮い立った。藤春は「ヒガシくん(東口)のためにと気合が入った」。守備陣は警告覚悟の激しいタックルでピンチを阻止。41分に黄義助がPKで先取点を挙げた後は、東口の代役でJ1デビューとなった林が好守を連発した。18本のシュートを浴びたが、最後まで全員が体を投げ出し、虎の子の1点を死守した。
前評判は低迷するガ大阪の圧倒的不利だった。それでも古巣との対決になったクルピ監督は発破をかけた。「ダービーはダービー。何が起こるかわからない。勝てば勢いに乗るチャンスだ」。試合後はその言葉に応えた選手たちを手放しで褒めた。「ガンバのプライドをかけて戦ってくれた。心からたたえたい」
好調なライバルを下し、最下位を抜け出した。三浦は「今日の気合を他の試合でも出していければ、必ず順位は上がる」。自信が戻った。(岩佐友)
○林(ガ) 東口との交代でJ1デビュー。「普段から準備していた。自分のプレーがある程度できたと思う」
○高江(ガ) J1初出場が大阪ダービーの先発。「意外に緊張せずに臨めた。絶対に結果を残そうと思っていた」
○黄義助(ガ) PKで決勝点。「サポーターの力で勝つことができた。満足せずに順位を上げていきたい」
○クルピ監督(ガ) 古巣との対決に勝利。「選手たちはガンバのプライドをかけて戦ってくれた。心からたたえたい」
セレッソ引きずってしまいそうな敗北
大阪ダービーにふさわしい熱戦だったが、セ大阪は競り負けた。相手を7本も上回る18本のシュートを浴びせたが、無得点。かつて指導を受けたガ大阪のクルピ監督に成長した姿を見せたいと意気込んでいた柿谷は「前の選手が点を取れなかったのが全て。この負けは引きずってしまう」とがっくり。
●尹晶煥監督(セ) 「本当に残念な結果。精神面で負けていた。この試合のためにたくさん準備したが、出せなかった」
●柿谷(セ) 「ダービーはどうしても勝負弱いところがある。素直に受け止めないといけないけど、この負けは引きずります」
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▼東口(ガ)が負傷交代 21日のセ大阪戦の前半11分、ロングボールの対応で味方選手と激しく衝突。顔が大きく腫れ上がり、プレーを続行できなかった。クルピ監督は「目の下を骨折しているのではないか」と話した。6月に開幕するワールドカップロシア大会の日本代表選出への影響が懸念される。