ホワイトハウスは2日、マラー特別検察官によるロシア疑惑捜査に対応してきたタイ・コブ法律顧問が5月末に退任すると発表した。後任には、クリントン元大統領への弾劾(だんがい)裁判でクリントン氏側の弁護人を務めたエメット・フラッド氏が就任する。マラー氏によるトランプ大統領への直接聴取が現実味を帯びる中、態勢を強化しているとみられる。
ホワイトハウスのサンダース報道官は声明で、「エメット・フラッドが大統領と政権の代理人としてロシア(疑惑)の魔女狩りに対抗していく」とした。
コブ氏は昨年7月に就任し、マラー氏の捜査に協力的な姿勢を示してきた。ホワイトハウスの他の法律顧問からはコブ氏が資料提出などで捜査に協力的すぎるとの批判があったという。
トランプ氏がコブ氏の協力姿勢を嫌い、退任につながった可能性もある。
フラッド氏はクリントン氏の弁護人だったほか、ブッシュ(子)政権下でホワイトハウス法律顧問として議会調査への対応も担った。米メディアは「フラッド氏は、混乱した状況で大統領の利益をどう守るか知っている」と評するほか、捜査へ「より敵対的になる」と予測している。
ロシア疑惑を巡っては、昨年5月にコミー連邦捜査局(FBI)長官を突然解任したことなどで、トランプ氏自身の司法妨害疑惑が浮上。マラー氏はトランプ氏の直接聴取を模索している。
マラー氏はトランプ氏が任意聴取を拒否した場合、トランプ氏を大陪審に召喚し、証言を求める可能性も出ている。ワシントン・ポスト紙によると、マラー氏のチームとトランプ氏の弁護団が今年3月に協議。トランプ氏側が聴取に応じる義務はないと主張したところ、マラー氏側は「他に選択肢がある」として召喚を示唆したという。(ワシントン=杉山正)