決勝3ランを放った巨人の阿部=東京ドーム
(10日、プロ野球 巨人4―2阪神)
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首位打者や打点王など打撃の主要タイトルを獲得してから、6年が経った。巨人の阿部も39歳。今季は出場機会が減り始めている。ただ、秘めたるパワーは、さすがと言うほかない。
0―0で迎えた三回2死二、三塁。2球目の143キロに対し、体をくるっと回して「反応」でとらえた。「少し差し込まれた」と言うが、右翼方向へ飛んだライナーは、なかなか落ちてこない。そのまま巨人ファンが待つスタンド最前列へ。決勝3ランとなった。
プロ18年目は、世代交代の渦中にいる。春季キャンプから、一塁の定位置を21歳の岡本と争った。オープン戦で岡本が成績を残し、阿部は開幕をベンチで迎えた。1打席勝負の代打に苦しみ、初安打は出場11試合目。開幕から約1カ月後だった。それでも、「試合で使ってもらえる喜びを持って、やるしかない。自分の野球人生では大事なこと」と受け入れてきた。
この夜は、2度目の「4番・一塁」で先発出場。初先発だった今月6日にも、第1号本塁打を放っていた。手にしたチャンスで、きっちりと役割を果たす姿が、健在ぶりを物語る。
5番・三塁で先発した岡本も負けじと2安打を放ち、打率3割台を維持。阿部は好調の後輩について「チームの役に立って、頑張っている。だからといって、自分が妥協することはない」。18歳差の生え抜き2人が、高いレベルで見せる競争。それは必然的に、チーム力の向上へとつながっていく。(井上翔太)