稀勢の里
大相撲の横綱稀勢の里(31)=本名萩原寛(ゆたか)、茨城県出身、田子ノ浦部屋=が13日に初日を迎える夏場所(東京・国技館)を休場することになった。11日朝、師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)が明らかにした。休場は7場所連続で、年6場所制になった1958年以降の横綱では貴乃花(2001年名古屋~02年名古屋)と並ぶ最長となる。次に出る場所の成績次第で進退問題の浮上は避けられそうにない。
稀勢を説得、休場決断に涙ぐむ師匠「覚悟を持っている」
新横綱だった昨年春場所13日目に日馬富士に敗れた際に左の上腕と胸を負傷。逆転優勝を果たしたが、代償は大きかった。けがの影響で、その後は出場に踏み切っても休場の繰り返し。昨年夏場所以降の1年間で13勝20敗(不戦敗4を含む)57休。この間、金星を12個も配給している。
19年ぶりに誕生した日本出身横綱の復活を望む声は大きい。休場や成績不振が続く横綱に対して注意や引退を勧告できる横綱審議委員会の北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は夏場所の休場もやむなしとの見解を示しており、「(勧告は)現時点で必要ない。体を治して頑張ってほしい」とも言っている。周囲の親方衆からも、調整に不安を残しての出場は踏みとどまるべきだとの声が大半を占めた。
ただ、負け越しても地位が下がらない横綱は、自ら引退を決断するほかない。長期休養すれば、出場する場所では相応の成績が求められる。貴乃花は7場所連続休場の後、休場明けの02年秋場所で12勝。ただ、続く九州場所で再び全休し、翌03年初場所、「体力の限界」を理由に引退を決断している。
また、同じ田子ノ浦部屋の大関高安(28)=本名高安晃、茨城県出身=も昨年九州場所以来の休場を決めた。二所ノ関一門の連合稽古で左腕を痛めた。