「羽生善治永世七冠達成並びに国民栄誉賞受賞記念祝賀会」で、鏡開きをする羽生善治竜王(中央)と山中伸弥氏(左)、井山裕太七冠(右)=2018年5月10日午後6時54分、東京都千代田区内幸町、山本裕之撮影
将棋界の7タイトルで永世称号を獲得し、国民栄誉賞を受賞した羽生善治・竜王(47)の受賞記念祝賀会が10日、都内のホテルで開かれ、約950人が偉業達成を祝った。
国民栄誉賞を同時受賞した囲碁の井山裕太名人・七冠(28)や京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥さん(55)らが来賓として出席した。山中さんは「羽生さんは、ご自身や対戦相手の美意識に挑戦する手を指して革命を起こしてきたのではないか。iPS細胞の研究は美意識や常識、恐怖心との戦いでもある。羽生さんの姿は私たちにとって励ましであり目標になっている」、井山さんは「囲碁界でも人工知能の進歩がめざましく、今までの常識が通用しないことが多くなって、対応の難しさを感じている。羽生先生はそういうところに柔軟に対応されて、世代による考え方の違いにも柔軟に対応されて、いいところをどんどん吸収している」と祝辞を述べた。
羽生竜王は「将棋の世界はたくさんのファンがいてこそ成り立っている。国民栄誉賞は私個人というよりも、長い歴史と伝統や先人の積み重ねも大きく評価していただいたと考えている。棋士になって30年以上たつけれども、将棋そのものについてはほとんど分かっていない。そんな中で将棋に価値を感じてくださる方がたくさんいるというのが、棋士を続けていく上で原動力になっています」と話した。
羽生竜王は1989年に初タイトルを獲得。7タイトルを独占する「七冠」を96年に達成した。昨年12月には通算7期目の竜王位を獲得し、「永世竜王」を名乗る資格を得た。複数回の獲得が条件となる「永世称号」を、名人など七つのタイトルで満たし、「永世七冠」となった。今年2月には「歴史に刻まれる偉業を達成し、多くの国民に夢と感動を、社会に明るい希望と勇気を与えた」として国民栄誉賞を受賞した。(村上耕司)