対馬のソウルフードを鳥栖でアレンジした「とんちゃん焼」=鳥栖市のレストラン「花やしき」
肥前さが幕末維新博覧会の「鳥栖サテライト館」の近くにある佐賀県鳥栖市のレストランに、長崎県対馬のソウルフードとされる「上対馬とんちゃん」をアレンジした豚肉料理が登場した。鳥栖市東部と佐賀県基山町が対馬藩の飛び地「田代領」だった江戸時代を振り返る館内展示にちなみ、メニューに加えられた。
上対馬とんちゃんは、豚肉をしょうゆ、みそ、ニンニクなどを調合したたれに漬け込み、鉄板などで焼いたもの。在日韓国人から伝えられた焼き肉料理を、対馬の人たちが日本人の味覚に合うよう工夫し、北部の上対馬地区に広まったという。
「対馬と鳥栖の縁を食を通じて知ってもらえれば、田代売薬などで栄えた田代領時代を紹介するサテライト館の展示への理解も深まるのでは」。こう考えた鳥栖市のレストラン「花やしき」の運営会社社長、西村享介さん(54)が、対馬の業者や団体からお墨付きをもらったうえで、「とんちゃん焼」の名でメニューにした。たれは対馬から取り寄せ、調理は独自のアレンジを加えた。
店の中心メニューは牛肉のステーキだが、宗教上の理由などで牛肉を食べない外国人旅行客にとって、とんちゃん焼はうってつけ。「日韓混交」の味わいは、サガン鳥栖の韓国人選手らにも喜ばれているという。
昼はサラダやスープ、ご飯、デザートなどがついたコースで2千円。夜は単品2200円、コース2700円。西村さんは「来年1月までの維新博期間だけの予定だったが、店の新定番として恒久化も検討したい」と話している。(大野博)