日本郵便は11日、2017年度に扱った宅配便の荷物が前年度比25・6%増の8億7588万個となり、5年連続で過去最多を更新したと発表した。伸び率は過去5年間で最も大きかった。宅配便最大手のヤマトホールディングス(HD)が荷物量の抑制を進めた結果、一部の荷物が日本郵便に流れたためとみられる。
日本郵便では17年度に入ってから毎月、荷物量(ポスト投函〈とうかん〉型の小型荷物を除く)が前年同月より1割前後増え、秋以降は2割ほど増えた。ヤマトが昨年10月に個人向けの運賃を平均15%値上げし、法人顧客約1100社にも値上げを要請した影響で、「ヤマトから荷物が流れ込んできた」(広報)という。
ヤマトが17年度に扱った荷物量は同1・7%減の18億3600万個。14年度以来の減少となった。インターネット通販の拡大で荷物量が急増し、セールスドライバーらの違法な長時間労働が常態化。過重労働を改善するため荷物量を減らした。
一方、佐川急便を傘下に持つSGHDが11日発表した17年度の宅配便個数は、同3・6%多い12億6200万個。決算日変更で集計期間が長くなったため、同じ条件で比べると0・5%増の12億2400万個とほぼ横ばいだった。昨年11月に個人向け運賃を値上げし、採算重視で引き受ける荷物を厳選した影響が出た。
日本郵便も今年3月に個人向け運賃を値上げしたが、運賃はヤマトや佐川より全体的にやや安い。当面は荷物量の伸びが続くと見られる。「郵便配達とあわせると人手は足りており、当分は問題なく引き受けられる」(広報)としている。(生田大介、石山英明)