鉄棒の演技後、ガッツポーズする内村航平=北村玲奈撮影
20日に終わった体操のNHK杯、男子個人総合は劇的な幕切れだった。9連覇中だった内村航平(リンガーハット)、ともに初優勝を狙う学生の白井健三(日体大)と谷川翔(かける)(順大)の3人が、ミスを重ねれば脱落する神経戦をたどった。
最後の鉄棒で抜け出したのは内村。重圧のかかる場面で見せた圧巻の演技の一方で、落下した谷川にはなにが起きていたのか。逆転優勝を許した谷川と白井の言葉をたどると、内村の強さが浮かび上がる。
NHK杯は、4月にあった全日本個人総合選手権の得点を持ち点にして争われた。その全日本で最年少優勝した谷川を、2位だった白井は0・332点差で、3位の内村は0・832点差で追う立場だった。
体操の得点は、技によって決まっている難度点のDスコアと出来栄えを問うEスコア(10点満点)の合計で決まる。着地のずれやひじや足の曲がりなど、Eスコアの減点を厳しく見る傾向が強まっている。着地が小さく一歩動けば0・1点が引かれ、大きく動けば0・3点、落下や転倒など大きなミスは1・0の減点。接戦が予想されていた。
3人が一緒に回る1組はゆかでスタート。その最初の種目で、内村は最後に用意していた伸身後方宙返り3回ひねりの大技で着地をぴたりと決めた。
次の演技順だった白井は「ゆかを見て、航平さんは(優勝まで)いくなと思った」と振り返っている。
同じ最後の鉄棒で逆転された昨年のNHK杯を含め、内村との競り合いは経験済みだ。内村がひたひたと追い上げてくる展開と重圧を想定していた。「イメージしていた通りの展開になって、むしろ自信を持てた」という。
対照的だったのは谷川だ。持ち…