(4日、卓球・世界団体選手権 日本3―0南北合同チーム)
卓球女子、合同チーム破る 「銀」以上確定 世界団体
会場が、どよめいた。2番手の最終第5ゲーム、10―10。石川佳純が放った強打を、コリアのカット主戦型キム・ソンイが食らいついて返球した浮き球が、台の角(エッジ)に当たった。10―11。マッチポイントを握られた。
「やばいなと思った」と石川。すぐに気持ちを切り替え、13―12とマッチポイントを握り返した。しかし、ここでもエッジボールで13―13。さらに失点し、13―14と絶体絶命のピンチに。それでも「絶対に負けられない」。球を冷静につないで3連続得点。勝利を決めると、跳びはねて喜ぶ。涙がこみ上げた。
「心は何度も折れそうになった」。だが最後まで自らを奮い立たせ、日本女子の主将の重責を全うした。踏みとどまれた理由は、2年前のリオデジャネイロ五輪にある。
初のメダルをかけて臨んだシングルス初戦の相手が、キム・ソンイだった。立ち上がりから飛ばし、2ゲームを連取したが、右ふくらはぎがけいれんし、敗退。悔しさを胸に、カット主戦型対策を磨いた。「精神面でも落ち着けるようになった」
迎えた世界選手権。前日に急きょ編成された合同チーム「コリア」との対戦に「動揺はあった。でもリオの時と同じじゃだめだと思って、自分を信じた」。チームを決勝に導いた。(前田大輔)