イングランド戦の4番手で返球に苦しむ水谷隼=前田大輔撮影
(4月30日、卓球・世界選手権団体戦)
「強く打つのか、打たないのか」。ボールが飛んでくる1秒にも満たない間、水谷隼は悩んでいた。
1―2と追い込まれて迎えた4番手。最終第5ゲーム、8―9の場面で水谷に「チャンスボールが来た」。だが、中途半端なスイングで失点。続く8―10でも同じようなミスが出て、日本の初黒星が決まった。
対戦相手のイングランドのピッチフォードは、2年前の前回大会の準決勝でも4番手で対戦。第4ゲーム6―10でマッチポイントを握られてから大逆転勝利を収めた。だが今回は、その再現はできなかった。「相手は2年前の方が強かった」というのが試合後の印象なのに、勝てなかった。
なぜか。「自信がなかった」と水谷は言う。大会の5日ほど前の練習で右腰を痛め、満足な練習ができなかったのが、試合巧者の判断力を狂わせていた。それが、命取りになった。
1次リーグの首位通過は厳しくなった。「これからは1試合も負けられない。向かっていくしかない」。自らを奮い立たせた。(前田大輔)