スパイクの試作品を手に笑顔を見せる桐生祥秀
アシックスの創業者鬼塚喜八郎さん(2007年死去)の生誕100年にあたる29日、同社にゆかりのあるアスリートのトークイベントが東京都内で開かれた。五輪のマラソンでメダルを獲得した君原健二さん、有森裕子さん、高橋尚子さんのほか、現役選手では昨年、男子100メートルで9秒98の日本記録をマークした桐生祥秀(日本生命)や、パラリンピックの走り幅跳びで2つの銀メダルを獲得している山本篤(新日本住設)らが登壇した。
五輪に3大会連続で出場し、1968年メキシコ五輪で銀メダルに輝いた君原さんは64年の東京五輪で履いたシューズを手に「マメのできにくいこのシューズに出会ったおかげで、(メキシコ五輪で)メダルがとれました」。シドニー五輪金メダルの高橋さんは、50足用意されたシューズの中から五輪用の1足を選んだエピソードを披露。「選手にとってシューズは体の一部。シューズが取った金メダルでした」
この日は短距離用スパイクシューズの試作品も発表された。従来のようなピンがなく、カーボン素材の、でこぼこした靴底で地面を捉える。ピンがないため、より軽さを追求できるという。同社のスパイクで日本選手初の9秒台をたたき出した桐生は「スパイクピンがないのは今までの常識では考えられない。まさに秘密兵器。スパイクに話題を持っていかれるのは困るけれど、いつか履いて走ってみたい」と話していた。(堀川貴弘)