男性が押さえつけられる様子が記録されたカメラ映像(男性の弁護団提供)
大阪入国管理局(大阪市住之江区)で昨年7月、職員による制圧時に右腕を骨折する大けがをしたとして、収容中のトルコ人男性(34)が29日、国に約450万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。男性側は「違法な暴行だ」と訴えている。
男性は2015年1月に来日し、難民認定を申請していた。訴えによると、男性は17年7月、男性の部屋に鎮痛剤の服薬状況を確認に来た職員の態度にいらだち、読んでいた本を壁に投げつけた。その後、施設内の保護室に連行され、手錠をされる際に右腕をひねられて骨折したとしている。
男性の弁護団は提訴後に記者会見し、大阪地裁の証拠保全決定で入手した保護室のカメラ映像(約4分)を公開した。
映像では、男性が室内に押し込まれた直後、紺色の制服姿の職員7、8人が部屋に入り、男性をうつぶせにして頭や胴体、足を床に押さえつけた。男性は後ろ手に手錠をかけられ、抵抗する様子がなくなった後も少なくとも約1分半の間、押さえつけられていた。
男性の弁護団は、逃走などの行為があった際に使うと規則で定められた保護室について「反抗的な態度を取った収容者に対し、懲罰的に使われている」と主張。弁護団の空野佳弘弁護士は「収容者の人権に配慮した体制が必要だ」と訴えた。大阪入管は「訴状が届いていないのでコメントは差し控える」としている。(畑宗太郎)