日本年金機構が障害基礎年金の受給者約千人に対し、障害の程度が軽いとして支給を打ち切る検討をしていることが分かった。認定傾向の地域差をなくすため、都道府県ごとだった審査を昨年度から一元化した影響があるという。対象者には医師の診断書の再提出を求める通知を送った。
障害基礎年金は20歳になる前や国民年金の加入時に病気やけがで一定の障害を負った人に支給され、受給者は昨年末時点で約191万人。障害の程度により1級(年約97万円)と2級(年約78万円)がある。症状に応じ定期的に診断書を提出する必要があり、回復状況に応じて支給を停止、再開することもある。
審査は都道府県ごとの事務センターで認定医が担っていたが、厚生労働省は2015年、請求者のうち不支給となる人の割合に最大約6倍の地域差があるとの調査結果を公表。機構は地域差を解消するため、昨年度から東京の障害年金センターで一元的に審査するようにした。認定基準や方法自体は変えていないという。
その結果、昨年度に診断書を提出した受給者のうち1010人が障害の程度が軽いと判断された。いずれも20歳前から障害がある成人で、対象者には昨年12~今年1月に通知を送ったという。今年度は支給を続ける一方、改めて診断書の提出を求める内容で、前回と同じ診断内容なら停止する可能性があるとしている。
加藤勝信厚労相は29日の閣議後会見で、通知の発送は突然の停止を避けるための「経過的な措置」と説明し、「個々の事例も検討しながら対応など考えていきたい」と述べた。(佐藤啓介)