ベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席夫妻が国賓として来日し、30日午前、皇居で歓迎行事があった。夜には天皇、皇后両陛下主催の宮中晩餐(ばんさん)会もある。来春に代替わりを控え、両陛下にとってこれが最後の国賓接遇となる見通し。お二人が重ねてきた「おもてなし」とは。
【特集】皇室とっておき
両陛下は皇居・宮殿に到着した国家主席夫妻を出迎え、握手を交わした。皇后さまは鮮やかなブルーのアオザイ姿の夫人とほおを合わせてあいさつした。歓迎行事では両国の国歌が演奏され、国家主席が儀仗(ぎじょう)隊の栄誉礼を受けた。その後、国家主席にカキツバタが描かれた「蒔絵飾箱(まきえかざりばこ)」、夫人にはお香を入れる容器「截金(きりかね)彩色まり香盒(こうごう)」が贈られたという。
気持ちのこもった国賓の接遇で知られる両陛下。宮内庁によると、平成になってからの国賓は今回で63件目。かつては、よりアクティブな交流もあった。
1992年1月、来日した米国のブッシュ大統領夫妻を東京・元赤坂の赤坂御用地に招き、テニスの親善試合をした。
天皇陛下と皇太子さま、大統領と駐日大使がペアを組み、日本組が勝利した。1セットの予定が、大統領側が「もう1セット」と声をかけ、1時間余りプレー。コートサイドでは皇后さまや大統領夫人が応援。秋篠宮ご夫妻が眞子さまを連れて姿を見せた。
実は陛下は皇太子時代に訪米した87年10月にも、当時副大統領だったブッシュ大統領と国務長官からテニスの誘いを受け、対戦している。日本で試合をした大統領は「こういう旅の途中でスポーツができるほど楽しいことはない」とご満悦だったという。
92年3月、ペルーのフジモリ大統領来日時には、陛下自ら私有車のハンドルを握り、助手席に大統領を乗せて赤坂御用地内を案内した。陛下が運転する車に国賓が乗るのは異例で、後部座席には皇后さまと紀宮さま(黒田清子さん)が同乗。当時のお住まいの旧赤坂御所で大統領と天皇ご一家は通訳を交えず約30分懇談した。
国賓として王族が来日すると、…