北朝鮮人民武力相が、朴永植(パクヨンシク)氏から努光鉄(ノグァンチョル)第1次官に交代したことが分かった。北朝鮮関係筋が明らかにした。李明秀(リミョンス)軍総参謀長にも交代説が出ている。この関係筋は「朝米首脳会談に向け、軍内部の穏健派を起用して混乱を避ける狙いがあるようだ」と語った。
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努氏は軍経済を扱う第2経済委員会で委員長を務めたとされ、2015年7月に人民武力省の前身の人民武力部第1副部長に就任。16年5月の党大会で政治局員候補に選ばれていた。
朴永植氏は15年5月から人民武力相を務め、李明秀氏とともに4月27日の南北首脳会談では金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長に同行している。
北朝鮮は、軍を政治的に指導する総政治局、戦闘を担う総参謀部、補給や人事を担う人民武力省に分割して統治することで、権力の集中を防いでいる。
先月には軍総政治局長が、今年2月に就任が確認されたばかりの金正覚(キムジョンガク)氏から、平壌市党委員長(市長)だった金秀吉(キムスギル)氏に交代した。今回、人民武力相と総参謀長の交代が確認できれば、半年間に軍の全部門トップが代わったことになる。
米朝が首脳会談で核廃棄に合意した場合、核・ミサイルを扱う戦略ロケット軍を含む約110万人規模の北朝鮮軍も縮小が避けられないとの見方がある。努氏と金秀吉氏は、軍では穏健派と位置づけられており、核廃棄が軍に影響して混乱するのを抑える狙いがあるとみられる。(ソウル=牧野愛博)