高山千沙さんは筒塩侑子さんと2人でブランコをこぎながらおしゃべりをした。「『ぐんぐん高いところまで立ちこぎをしていてすごいね』と侑子ちゃんと話した」=2018年6月1日、岡山県津山市総社、玉木祥子撮影
岡山県津山市で2004年、小学3年の筒塩侑子(つつしおゆきこ)さん(当時9)が殺害された事件で、事件当日に一緒に下校した同級生の高山千沙さん(22)が取材に応じ、この14年の思いを語った。
ゆきちゃん(侑子さん)は私より背が高くて頼りがいがあって、お姉さんみたい。休み時間にバレーボールや泥団子作りをして遊びました。きれいに作るにはサラサラの砂をまぶすのがコツ。「きれいにして」と頼むと、笑顔で「いいよ」って。サラサラの砂で上手に作ってくれました。
「手はこう(逆手で)持ってな、脇は締めて」と逆上がりを教えてくれたこともあります。「できんよー」と言うと、「千沙ちゃんならできる」と励ましてくれるような子でした。
9月3日金曜日、運動会のリレーのリーダーにゆきちゃんが選ばれたんです。足の速さはクラスで1、2番でしたから。その日の帰り道、ケラケラ笑いながら別れました。
「じゃあね、バイバイ」
そう言ってゆきちゃんは笑顔で手を振り、道路を渡っていきました。
この直後の3日午後3時15~35分ごろ、筒塩さんは自宅で殺害された。
大好きなステーキを食べていると、電話が鳴ったんです。母親は「侑子ちゃんが亡くなったみたい」と。パニックになり、ステーキはのどを通らない。母親が背中をとんとんしながら「大丈夫」と言ってくれたんですけど、ずっと泣き続けました。
週末のミニバスケットボールの練習は休みました。「ゆきちゃんがもうこの世にいないなんて考えられない」と思って、何をする気にもなれない。9月6日の月曜日は母親に車で送ってもらい、やっとの思いで学校に行きました。全校集会で事件の説明があったんですけど、「本当にいないんだ」と思ってさらに悲しくなって。教室で机に顔を伏せてずっと泣いてました。
筒塩さんの告別式は同7日に津山市内で営まれた。
棺の中で目をつぶっているゆきちゃんは、今にも起き出しそうでした。会場では「少年時代」が流れてました。その後、学校を休みがちになり、家でこの曲をよく聴きました。思い出がよみがえって、心が落ち着いたんです。
手がかりとなる物証や情報がな…