政府の規制改革推進会議は4日、放送コンテンツの国際競争力の向上を目指し、放送事業への新規参入や放送のインターネット配信の基盤構築を促すことなどを柱とした答申をまとめた。政府は6月中旬にも工程を定める規制改革実施計画を閣議決定し、「骨太の方針」に反映する。
四面楚歌の放送法4条撤廃 首相周辺「もうどうでも…」
放送分野の規制改革では「通信と放送の枠を超えたビジネスモデルの構築」のための制度整備を求めた。放送のネット同時配信を進めるため、NHKの常時同時配信の是非を早めに決めることや、著作権の処理について円滑化を進めることを検討項目とした。9月末に終わる放送大学の地上放送の枠を使って、新規参入に役立てるといった具体策を盛りこんだ。
放送番組の「政治的公平」などを定めた放送法4条の撤廃は、放送業界などの反発が強く、盛り込まなかった。一方で「ローカル局の経営基盤の在り方の検討」「放送事業者の経営ガバナンスの確保」をあげ、総務省が放送局の経営のあり方を検討するとした。
改革案は、放送改革のほか、農林水産、医療・介護、保育・雇用など120項目にわたる。患者が受診から薬の授受まで一貫してオンラインで受けられる診療の実現のため、対面での服薬指導の義務付け緩和▽外国人留学生の国内就職促進のための在留資格変更手続きの負担軽減▽新規参入をしやすくする養殖・沿岸漁業の規制の仕組みの透明化などを盛り込んでいる。
推進会議議長の大田弘子政策研究大学院大学教授から答申を受けとった安倍晋三首相は「大胆な規制改革の断行は時代の要請だ」と述べ、放送については「総務省を中心に未来を見すえた放送のあるべき姿について検討を進めていきたい」と語った。(又吉俊充)