JFLの奈良クに敗れ、サポーターから厳しい言葉を浴びる名古屋の選手ら
サッカーの天皇杯2回戦で6日、J1のガ大阪が関西学院大(兵庫)に延長戦の末、1―2で敗れた。J1名古屋もJFLの奈良クラブ(奈良)に1―1からのPK戦の末に敗れた。ともに、ほぼベストメンバーで臨んでの敗戦だった。
カテゴリーの違うチームが対戦する天皇杯は、格下が格上を倒すジャイアントキリング(番狂わせ)が「売り」の大会でもある。例年起きるのは、格上のチームがリーグ戦との連戦などでメンバーを落として戦い、格下のチームに負けるパターンが多い。今回の2チームは、それとは違う。
ガ大阪は立ち上がりから関学大の積極的なプレスで主導権を握られた。後半42分、ゴール前のこぼれ球をガ大阪ユース出身のMF岩本に押し込まれて先制を許す。2分後に同点にしたが、延長前半2分に決勝点を挙げられた。
「残念ながら結果は妥当と言わざるを得ない」。ガ大阪のクルピ監督は完敗を認めた。関西の盟主と言えるクラブに一泡吹かせようとする大学生の勢いに、ガ大阪のプロ選手は完全にのまれた。
一方、名古屋も前半終了間際にFWガブリエルシャビエルの個の力が光った1ゴールのみで、その後は奈良クの必死の守りを崩せなかった。奈良クの薩川監督も「何も失うものはない強さが今日は出た。選手は生き生きとサッカーを楽しんでいた」と振り返った。ガ大阪も名古屋も受け身だった。
この2チームの共通点はともにJ1で16位、最下位と低迷していることだ。状態が上向かない中、ワールドカップ開催に伴う中断期間前の過密日程でも、メンバーを固定して戦ってきたことも似通っている。
「うちは主力もサブもない」と名古屋の風間監督は常々嘆いていた。名古屋もガ大阪もリーグ戦の低迷を抜け出すために、戦力を温存する余裕はない。固定メンバーなのは、そのためだ。そしてこの日も両チームは現時点でのベストメンバーで臨み、負けた。
自信のなさはプレーににじみ出ていたのだろう。奈良クの薩川監督は、名古屋について「やっている中で停滞感、暗いムードを感じた」と言った。
ガ大阪のFW長沢も試合を振り返り、「今季の悪いときの流れだった。相手どうこうより、どことやってもこういう試合なら負ける」とこぼした。
中断期間明けのリーグ戦で巻き返しを期す両チームだが、課題を洗い出しながらも勝利をつかむことが求められた天皇杯2回戦であっさり敗退。このショックは尾を引きそうだ。(金子智彦、岩佐友)