土砂投入海域
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画で、国は8月中旬にも埋め立て予定海域への土砂投入を始める方向で調整を始めた。沖縄防衛局が近く、県に対し、工期や工事内容を通知する。一方、翁長雄志(おながたけし)知事は、前知事による埋め立て承認を撤回すると明言しており、いつ表明するかが焦点となる。
沖縄はいま
県赤土等流出防止条例は、国が県内で埋め立てを含めた1千平方メートル以上の工事をする場合、県への通知が必要と定めている。防衛局によると、県と5月29日から通知に向けた事前協議をしており、来週にも通知する意向だ。
県環境保全課によると、通知されれば、45日以内に内容を審査する。必要があれば工事内容を協議できるが、工事自体を止めることはできない。
防衛局は当初、7月に土砂投入を始める予定だった。だが、予定海域付近に生息するヒメサンゴについて、移植を県に申請したが許可されなかったため、水質汚濁対策を強化したり、石材の投入量を減らしたりする対策を取り、移植せずに工事を進めることにした。この手続きのため、8月中旬にずれ込んだという。
昨年4月に始まった護岸工事は着々と進んでおり、米軍キャンプ・シュワブの南側では、7月には護岸によって囲われる海域ができる。防衛局はこの海域から土砂投入を始める。土砂が投入されれば、原状回復するのは難しくなる。
これに対し、辺野古への移設に強く反対している翁長知事は、埋め立て承認を撤回すると明言している。撤回は重大な法律違反などの理由が必要で、県は環境保全策が不十分なことなどを中心に検討している。
実際の撤回には、事前に表明し、国からの聴聞期間として1カ月程度が必要とされる。翁長知事が撤回に踏み切れば、工事はいったん止まるが、国はその効力を一時的に失わせる執行停止を裁判所に申し立てる方針。国側の言い分が認められれば、数週間で工事が再開する可能性がある。国は同時に、撤回取り消しを求める訴訟も起こす見通しだ。