働き方改革関連法案の衆院厚労委での採決を野党議員らが阻止しようとするなか、行方を見守る加藤勝信厚労相(左から2人目)=2018年5月25日午後5時51分、飯塚晋一撮影
安倍政権が今国会の最重要法案と位置づける働き方改革関連法案は25日の衆院厚生労働委員会で、自民、公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決された。立憲民主党など野党が激しく抗議する中で、与党が採決を強行。29日にも衆院を通過する見通しで、6月20日までの会期内に成立する公算が大きくなった。
この法案は、年収1075万円以上の一部の専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」を導入する規制緩和策と、罰則付きで残業時間の上限を設ける規制強化策などが盛りこまれている。立憲などは「過労死を助長する」として高プロの削除を要求。政府・与党は応じず、高プロを適用された人が撤回する場合の手続きを明記する修正を行うことで維新、希望の党と合意した。
衆院厚労委での採決は、野党が「審議を尽くしていない」として反対したが、高鳥修一委員長(自民)が職権で決めた。当初は23日に採決を強行する予定だったが、立憲など野党5党と衆院会派「無所属の会」が高鳥委員長の解任決議案を同日に提出。さらに25日には加藤勝信厚労相の不信任決議案を提出した。
両決議案とも法案審議より優先され、それぞれ衆院本会議で与党や維新などの反対多数で否決。25日の衆院本会議後に厚労委を再開し、与党が採決に踏み切った。
野党は「安倍政権の強引な姿勢を象徴している」(玉木雄一郎・国民民主党共同代表)などと、反発を強めている。(斉藤太郎、松浦祐子)