平日の練習時間は?
日本高校野球連盟と朝日新聞社は15日、全国の硬式野球部がある加盟3957校を対象に、4~5月に実施した実態調査の結果を発表した。その中で、練習時間が全体的に短くなっていることが浮かび上がった。
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調査は1993年から5年に1度、各校の監督や部長に答えてもらっている。「平日の練習時間は平均何時間ですか(早朝や個人練習も含む)」という問いで、3時間未満と答えた校数が前回2013年の43・6%から50・4%に増加。学校5日制導入後の2003年以降、3時間以上と答えた校数を初めて逆転した。休日の練習に関しても、「7時間以上」と答えたのは27・4%。03年は18・7%、08年は26・9%、13年は32・5%とこれまで増加傾向にあったが、減少に転じた。練習時間が長いイメージが強い高校野球でも、「時短」が浸透してきた。1993年に4割未満だった休日を設けている学校についても、初めて8割を超えた。
日本部活動学会の会長を務める学習院大の長沼豊教授(教科外教育)は、「昨今の効率的な練習が影響している」と話す。五輪などの国際大会でスポーツ医科学に基づいた練習によって活躍する選手が増えており、「科学的な視点の重要性が証明され、『スポ根』でやってきた指導者の意識改革が進んだのでは」と見ている。
この10年で、部員不足に悩む学校と大規模校が増える「二極化」が加速した。
部員数が10人未満と答えた学校は2008年の2・6%から5・2ポイント増え、約3倍に。そのうち93・9%が公立校だった。100人以上の大規模校は、1・1%から2・5%に増加。初めて校数が3桁に乗った。
部の年間予算額では、10万円未満と答えた学校が1・8%から3・0%へと増加。200万円以上は20・3%から5・5ポイント増え、25・8%に。1千校を超え、環境面でも格差が生まれやすい構図になっている。
監督の年齢を見ると、平均年齢は42・47歳。最年少は18歳で、25歳未満が10年前の2・7%から2・2%に。若い指導者が入ってこない半面、「高齢化」は進み、最高齢は82歳。60歳以上の監督は10年前の2・4%から4・2%に増えた。(小俣勇貴)
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調査は4~5月に実施。回答を日本高野連に返送してもらった。設問は計104問で、責任教師と監督に答えてもらった。3939校が応じ、回答率は99・5%(2013年4032校=100%、08年4050校=98%、03年4147校=98%、98年3994校=96%、93年3518校=86%)だった。全校から回答が得られたのは42道府県(北海道、青森、岩手、秋田、山形、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、埼玉、神奈川、新潟、山梨、静岡、愛知、岐阜、三重、富山、石川、福井、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、岡山、広島、鳥取、島根、山口、香川、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島)。