イマドキの球児像
SNSはルールの中で活用する学校が多く、食の自由は広がり、野球留学を認める意見が増えた。日本高校野球連盟と朝日新聞社が100回目の夏を前に実施した高校野球実態調査(加盟校アンケート)から、少しずつ変わってきた高校球児と野球部のいまが見えてきた。
スポ根さらば?高校野球部「時短」進む 部員数は二極化
インターネットツールが発達し、球児が自分で様々な情報を探すことが当たり前になってきた。IT活用については5年前に続き2度目の調査となった。
携帯電話、スマホの利用について、「校則、部で禁止」を選んだ学校は27・7%から21・0%に、「部員の自由」は32・7%から26・4%に、それぞれ減少した。代わりに、「一定のルールを決めている」が16・4%から22・8%、「正しい使用方法を指導」が23・1%から29・5%に増加。SNSなどのIT活用についても、同様の傾向だった。指導者には、利用を否定せずにリスク管理はする、という考えが広まったようだ。
選手の自由度が増してきたのも時代の流れだ。禁止している食べ物で、10年前に最も多かった炭酸飲料は12・5ポイント減の22・7%。カップラーメンの禁止も1割を切り、「ない」と答えた学校は、13・7ポイント増の72・8%だった。
「丸刈り」が定着しつつあった頭髪についても、「特に決めておらず、長髪も可」が前回から3・3ポイント増の14・2%に。これまで様々な場面で球児を縛ってきた高校野球の固定観念が薄れてきているようだ。
昨年から甲子園練習で一部参加が認められた女子マネジャー。「いる」と答えた学校は増え続け、約8割に及ぶ。また、今年からほぼ全ての公式戦で導入されたタイブレーク制について、練習を「する」「すでにしている」と答えた学校は77・1%と大半を占めた。
野球留学「肯定」増える
他の都道府県に進学する「野球留学」は、肯定的な意見が増えた。「就学の自由だから問題ない」と答えた学校は08年の37・2%から54・5%となり、初めて半数以上に。野球留学の部員が少ない公立校でも50%(08年は33・4%)が認めた。ただ、部員数の「二極化」にも直結するため、「何とも言えない、分からない」を選んだ学校は22・4%と根強く残っている。
野球留学と関わりが深いとされる「野球特待生制度」。13年は47・7%だった賛成派が52・7%となり、反対派を逆転した。採用している学校は12・4%から13・3%と微増だった。(小俣勇貴)