「まだまだ勝手に関西遺産」
いつかはやってみたいけれど、夢のまた夢。そんな存在のお遍路を、なんと“時短”でできる場所があるという。甲山(かぶとやま)八十八カ所。甲山(兵庫県西宮市)中腹にある神呪寺(かんのうじ)の周囲約2キロを歩くだけで四国八十八カ所を巡ったことになるという。全行程は、本家の約560分の1だとか。行かない手はない。
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県立甲山森林公園前バス停から少し歩けば、1番札所だ。「阿波国第一番」と刻まれている。無事にお遍路できるようお参りして、いざ出発。2~12番までがバス道沿いに続く。常に次の札所が見えている状態で10分もかからず制覇できる。
快調、快調。
石段を下り、畑の脇を抜けて山道へ。数字が記された竹製のおさい銭入れを目印にいっきに26番までをたどる。気づけば土佐国に入っていた。
巨大な石がそびえる34番、見晴らしのよい60番。特徴的な札所があり、鳥のさえずりや鐘の音を聞きながらの道中は飽きない。60番まで写真を撮りながらでも1時間。余裕だと思っていたが、この先は札所の間隔が広がり、道も険しい。
簡単にはいかないよなと思いつつ、ついに87番。高揚感がある。来た道を引き返して神呪寺本堂へ。最後の難関、100段程の石段を上り、出発から1時間50分後、88番にたどり着いた。赤い帽子をかぶったやさしいお顔の仏様が迎えてくれる。じんわりありがたい気持ちと達成感がわいてきた。ああ、時短でもお遍路ってすごい!
成り立ちをひもとくと、寛政1…