高齢者に啓発品を配り、注意を呼びかける機動隊員ら=JR高槻駅前
都市部を中心に再び増え始めた「オレオレ詐欺」。最も多い息子をかたる手口の8割近くは、受け渡し場所が駅周辺だったことが大阪府警の調査でわかった。犯行後の「逃げやすさ」を重視したとみられる。これに対し府警は、駅に機動隊員を派遣して封じ込める作戦を始めた。
大阪府高槻市のJR高槻駅前で11日午後、機動隊員15人が改札付近や駅前を巡回し、高齢者に「オレオレ詐欺に気をつけて」と呼びかけていた。周辺はものものしい雰囲気に包まれ、「何かあったのか」と驚く人も。同様に機動隊員が派遣された駅は十数カ所。不審者を見つけたら、多額の現金を持っていないか、他人名義のキャッシュカードはないか、持ち物の確認などを行う。
還付金詐欺などが増える一方で下火になっていたオレオレ詐欺は、府内では2016年ごろから再び増加に転じた。今年は5月末までに312件の被害があり、前年同期の2倍ペース。被害額も約9億円で約40%増えた。息子をかたる手口は約69%で最も多く、うち現金やキャッシュカードの受け渡し場所は駅周辺が約76%を占める。
府警はその理由を、「駅は人が多いので不審がられず、現金を受け取った後、すぐ電車やタクシーで立ち去れるため」とみる。
府警はこれまで府内各地の無人の現金自動出入機(ATM)に約900人の警察官を張りつけ、還付金詐欺を抑え込んだ実績がある。清水一彦・特殊詐欺対策室長は「今回も『人海戦術』で臨む。大阪でオレオレ詐欺をするのはハイリスクというイメージを犯行グループに植え付けたい」と話す。(米田優人、藤波優)