3日ぶりのお風呂に入り、おどける高畑瞬ちゃん(2)。父の匡平(きょうへい)さん(右)は「体がかゆそうで心配だったからよかった。気持ちいい」と話した=2018年6月20日午後3時5分、大阪府茨木市、細川卓撮影
ガスが復旧せずに多くの被災者が自宅の風呂を使えないなか、陸上自衛隊は20日、大阪府茨木市のグラウンドに仮設の風呂を設置した。被災者向けに無料開放する銭湯もあり、温かい湯を求めて多くの住民が利用している。
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陸自の風呂が設置されたのは茨木市真砂2丁目の若園公園グラウンド。陸自千僧駐屯地(兵庫県伊丹市)の隊員が設営した。風呂は男女別で、それぞれビニールシート製の2メートル×3メートルの浴槽が二つ、シャワーが10口ある。1時間に男女計140人が入浴できるという。
入浴が始まった午後3時には100人以上が列をつくった。市内に住む小学2年生のポールマン・マヤアンさん(7)は「一番風呂でめっちゃ気持ちよかった」と笑顔。母親の会社員須田真由美さんは「2日間お風呂に入れないのはさすがにつらかった。今晩はカセットコンロでちょっとずつお湯を沸かして風呂にためようかと思っていたので、とてもありがたかった」と話した。
2歳の長男を連れて訪れた会社員高畑匡平さん(30)宅は19日まで断水していたので、給水所でもらった水でタオルをぬらして子どもの体を拭いていたという。「私もおけに入れた水で頭を洗ったり、手ですくって体にかけたりする程度でした。やっぱり温かい風呂はいいですね。自衛隊に感謝しています」
風呂は30日ごろまで、午後1時から午後9時まで開かれる。市民以外も利用できる。妊娠中や目の不自由な人など入浴に時間を要する人が正午から午後1時まで。手すりがないため、車いすの人などの入浴は難しいという。
近隣の銭湯では浴場を開放する動きも出ている。枚方市招提田近(しょうだいたぢか)3丁目のスーパー銭湯「極楽湯 枚方店」は19日夕から、高槻、茨木、吹田、摂津の被災4市の住民に浴場を無料開放している。18日以降に営業の問い合わせを多く受け、実施に踏み切った。河内良太支配人は「できることで力になれたら」と話す。20日は午後5時までに普段の4倍以上の客が訪れたという。
茨木市から子ども2人を連れて訪れた主婦の女性(36)は、19日は電子レンジや電気鍋で少しずつ湯を沸かし、風呂に入ったという。「季節が季節だけに、お風呂は入らないわけにはいかない。すごい気持ち良かった」と話した。
府公衆浴場組合(大阪市天王寺区)に加盟する銭湯十数軒は21日から、高槻、茨木、吹田、摂津、箕面の5市の被災地の住民を対象に浴場を無料開放する。開放する銭湯は21日中に組合のホームページで公表するという。組合の担当者は「被災地近辺だけでなく府内に幅広く呼びかけた。勤務先や外出先でも入っていただければ」と話している。