モサック・フォンセカのビル。同社はすでに閉鎖されている=2016年4月撮影
中米パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した1150万件の電子ファイル群「パナマ文書」に基づく報道が始まったのは、2016年4月3日(日本時間4日午前)。約80カ国の100余の報道機関が参加した。
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特集:パナマ文書
18年6月20日(日本時間21日午前)に始まった続編は、120万件と規模が小さく、また、内容の相当部分はこれまでの報道で明らかにされている。しかし、南ドイツ新聞が文書を入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)を通じ、各国の報道機関が共有、連携して取材する方式は同じで、続編は2年あまりの報道のインパクトを確認するものにもなった。
タックスヘイブンは、法人税や所得税の税率がゼロ、または極めて低い国や地域のことで、カリブ海にある英領バージン諸島やバハマが有名だ。法人情報の公開が貧弱で、匿名性が高く、脱税や資金洗浄(マネーロンダリング)の温床になっている。多国籍企業や富裕層が合法的に租税を回避することで各国財政が悪化し、格差拡大の一因になっている実情も社会問題化。乱用を防ぐルール作りが経済協力開発機構(OECD)など国際社会で進められている。
そうしたタックスヘイブンでの法人設立を引き受ける業者のうち、5指に入る大手と言われていたのがモサック・フォンセカ(MF)だ。パナマ文書は、その内部の業務の過程で1970年代から2015年にかけて作成された。「ジョン・ドウ(名無しの太郎)」を名乗る匿名の人物によって南ドイツ新聞に段階的に提供され、最終的にそのファイルの数は1150万件、サイズは2・6テラバイトに上った。
南ドイツ新聞は15年初め、タックスヘイブンの報道で以前から協力しあってきたICIJに相談を持ちかけた。ICIJは、朝日新聞、共同通信を含む百以上の報道機関、400人近くのジャーナリストに呼びかけ、共同で分析と取材を進め、16年4月初旬、報道を始めた。
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